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解説

  • 産婦人科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、婦人科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。 産婦人科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、婦人科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。
  • (2)月経に関連しない性器出血

  • (A)異常性器出血(AUB)

    問診:
    これまで、月経がある年代の女性における月経の量、期間、周期の異常に関して様々な用語が使われ、混乱してきた。そこで、これらを異常性器出血(abnormal uterine bleeding: AUB)と総称し、原因疾患別の分類を行うことが提唱された。そのためにはまず正常の月経について評価できなければならない。
    月経周期は24~38日、周期のずれは18~25歳では9日以下、26~41歳では7日以下、42~45歳では9日以下、とされる。持続は8日以内、出血量は20~140m(l 日産婦)が正常である。しかし月経量を測ることは難しいため、量については「日常生活で困るほど量が多い」としているものもある。具体的には、以下のような状況が過多月経の簡単な評価法となる。

    ・生理用品(ナプキン・タンポン)を1~2時間で代えないといけない。あるいは不安で夜用の大きなナプキンを1日中使う、あるいはナプキンとタンポンを同時に使っている。
    ・夜に目を覚まして交換しなければならない、あるいは寝具を経血で汚すことがある。
    ・親指大の凝血塊が排出される。
    ・月経が8日以上続く。

    理学的所見:
    腟鏡診で、子宮頸部に突出したポリープ(AUB-P*1)や肉眼的にわかる子宮頸がん(overt cervical cancer; AUB-M*2)の診断が可能である。内診により、子宮筋腫(AUB-L*3)、子宮腺筋症(AUB-A*4)など子宮の腫大を伴う疾患を推測する。

    臨床検査:
    子宮頸部擦過細胞診は重要で、異常に容易に出血するようであればその結果に関わらずコルポスコープや生検を考慮すべきである。子宮頸部に異常がない場合は超音波により特に子宮内腔に注目してAUB-PやAUB-M(悪性疾患由来の出血、確定には子宮内膜生検が必要)などの推測を行う。また、子宮腫大がある場合は子宮と一塊となっている卵巣がんとの鑑別が難しいことがあるので超音波による確認は必要である。
    少なくとも全検血により血小板の異常などによる凝固系の異常(AUB-C*5)、基礎体温測定による卵巣機能不全から起こる出血(AUB-O*6)の診断、子宮内膜生検による子宮内炎などの異常(AUB-E*7)の検討も必要である。薬剤服用歴の聴取によるAUB-I*8(医原性の出血)や原因不明(AUB-N*9)も含めてこれらをPALM-COEIN分類として系統的に検討する。
    また、鉄欠乏性貧血の指標として全検血によるヘモグロビン低値、MCV低値よりもフェリチン低値の方が鋭敏に鉄欠乏状態を反映することが知られている。

    *1:P…polyp
    *2:M…malignancy and hyperplasia
    *3:L…leiomyoma
    *4:A…adenomyosis
    *5:C…coagulopathy
    *6:O…ovulatory disorders
    *7:E…endometrial causes
    *8:I…iatrogenic
    *9:N…not yet lassified
  • (B)閉経後性器出血(PMB)

    問診:
    然るべき年齢(日本では40歳以上)で、月経があってから1年間無月経が続く場合、その最後の月経をもって閉経した、と定義する。閉経後に出血(明らかな出血ではなく、褐色、ピンク、あるいは膿様帯下の増加と表現されることがある。)があればその10~15%に子宮悪性腫瘍がある、とされるので子宮悪性腫瘍の否定をまず考える。

    理学的所見:
    腟鏡診にて子宮頸部の状態を確認する。肉眼的にがんを疑う凹凸不正、易出血性の腫瘤を見たら細胞診では壊死細胞だけが検出され、異型細胞が存在しないことがある。内診で子宮頸部の腫瘍を認めたときには直腸診を行い、周囲への進展を検討する。子宮体がんは内診だけでは診断できないことが多い。

    検査:
    超音波で子宮内膜の肥厚がないかどうかを検討する。閉経後の女性の子宮内膜は4~5mm程度であり、これより厚い場合や内膜が不均一に観察される場合には子宮内膜生検を行う。薄い場合にはいったん経過観察も容認されるが、再度出血した場合には生検が必要である。この時に鋭匙による生検より吸引による生検の方が悪性腫瘍の検出感度は高い。子宮内膜細胞診による子宮内膜がんの存在否定はできない、と考える方がよい。
    悪性腫瘍の存在が否定された場合、委縮や、子宮頸部ポリープ、特に閉経後数年以内であれば子宮内膜ポリープ、子宮筋腫などが原因のことがある。閉経後出血を伴う子宮内膜ポリープは摘出して病理学的検討を行う対象となり得る。
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