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TDDS製剤とは

TDDSとはTransdermal Drug Delivery Systemの略で、皮膚から薬を送りこむ経皮薬物送達システムのことを言います。

  • これだけは知っておきたい!
    TDDS製剤(貼付剤)の服薬指導のポイント

    佐々木研究所の大谷 道輝先生に、経皮吸収型製剤の特徴や患者指導におけるポイントをご解説いただきました。ぜひご視聴ください。

  • 経皮吸収型製剤(TDDS製剤)の特徴と技術開発について~貼る、を知る。~

    経皮吸収型製剤(TDDS製剤)の特徴と技術解説について久光製薬株式会社 研究開発本部 本部長の寺原孝明よりご説明いたします。ぜひご視聴ください。

貼付剤とは

貼付剤開発の意義
貼付剤は、経口剤や注射剤の課題解決に繋がる新たな剤型です。
貼付剤開発の意義
一般的に経口剤は多くの薬で汎用される剤型ですが、経口投与が困難な患者さんや消化器系の副作用が心配な患者さんには投与が困難になります。注射剤はそのような課題を解決できますが、投与時に痛みがあり、また血中濃度の急激な上昇によって全身性の副作用が現れる可能性があります。そこで、貼付剤にすることでこれらの剤型の課題を解消できるのではないか、という考えに基づき、貼付剤開発が進められています。貼付剤には局所製剤と全身製剤があり、局所製剤は標的組織に高い薬物濃度を維持できるように、全身製剤は安定した薬物血中濃度を維持できるように製剤設計されています。
貼付剤の利点と欠点

利点

  • 肝初回通過効果を受けないため、薬物のバイオアベイラビリティを高めることができる
  • 消化器系の副作用を回避し、全身性の副作用を軽減させることができる
  • 長時間、一定した薬物血中濃度が得られる
  • 副作用発現などで投与を中止したい場合、剥がすことで投与を中止できる
  • 注射剤のような専門的手技を必要とせず、適用方法が簡便である
  • 服用有無を視認できるため、アドヒアランスの向上につながる
  • 嚥下が困難な小児や高齢者などの患者にも投与できる
利点

欠点

  • 皮膚に対する刺激性を有することがある
  • 貼付部位により吸収が異なる
  • 剥がし忘れることがある
大谷道輝: スキルアップのための皮膚外用剤Q&A 改訂2版. 南山堂; 2011.を参考に作成
塩原哲夫,大谷道輝: 臨床に役立つ 経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A. アルタ出版; 2012. p.7.

全身製剤

経皮吸収により薬物が血流に到達することで全身への効果が期待できる

全身製剤の構造(放出制御機構)
全身製剤は肝初回通過効果を回避させるとともに、長時間血中濃度を一定に維持させるために放出制御機構が施されています。
マトリックス型
現在の主流。全身製剤に限らず、局所製剤でも使われている

特徴

  • 薬物含有マトリックスが放出を制御している
  • 薬物の過量放出の可能性が低い
  • 面積による用量調整が容易
  • 皮膚への付着性が良い
マトリックス型
リザーバー型
破損による過量投与のリスクや構造が複雑なことから少なくなっている

特徴

  • 薬物貯留層を持ち、放出制御膜で放出量を調整する
  • 粘着剤に溶解性があまり良くない添加剤を使用できる
  • 膜の厚さを変えることで放出速度を調整することができる
リザーバー型
全身製剤の薬物代謝経路
全身製剤の薬物代謝経路
経口剤は成分が主に小腸から吸収され、門脈を経て肝臓に入り肝初回通過効果を受けた後、全身循環へ入ります。それに対し貼付剤は成分が皮膚から吸収されて肝臓を経由せず全身循環へ入るため、肝初回通過効果の影響を受けません。
経口投与後と経皮投与後の血中濃度の推移(イメージ)
こちらの図は経口投与後と経皮投与後の血中濃度の推移のイメージを示しています。ご覧のように貼付剤は安定した血中濃度が期待でき、喘息で見られるモーニングディップ等、朝方に起こる症状の緩和にも注目される製剤です。
貼る、を知る。POINT 貼る、を知る。POINT
貼付剤は、経口剤や注射剤の課題解決に繋がる新たな剤型です。
全身製剤は血中濃度を長時間一定に維持させることで、安定した効果と副作用の低減が期待できます。
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