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解説

蜂窩織炎

  • 皮膚科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、皮膚科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。 皮膚科医が一般診療でよく出会う、患者さんの症状・主訴をベースに、皮膚科疾患を考える上で必要な問診・理学所見・検査等を掲載しております。日々の診療の一助として是非ご活用ください。
  • 蜂窩織炎
  • 定義・概要
    皮膚の浅層における急性の細菌感染症であり下肢に好発する。主に皮膚常在菌に起因し、中でもブドウ球菌が原因となることが多い。圧痛を伴うやや境界不明瞭な紅斑を呈し、拡大傾向を伴うことが多い。
  • 診察時のポイント
    蜂窩織炎の診断は、皮膚〜皮下組織に広がる炎症の存在に基づいた臨床診断である。熱感・腫脹や圧痛を伴う境界不明瞭な紅斑を特徴とし、発熱などの全身症状を伴う場合も多い。敗血症に移行し重症化することもあるため注意が必要である。
  • 診断の流れ
    問診で発熱、悪寒、倦怠感、関節痛などの全身状態、局所の疼痛などを確認する。次に局所の紅斑に対して触診し、腫脹、圧痛や熱感の有無を確認する。この際、ガス壊疽や皮下膿瘍の形成の可能性を念頭に置き握雪感や波動の有無に注意する。また、皮膚〜皮下の炎症がより強いことを示唆する水疱や血疱、紫斑の形成がないかも併せて確認するとよい。患部の近傍に細菌の侵入門戸となるような、足白癬や創傷などがないかも注意深く観察することが望ましい。
    高熱の出現など全身症状が強い場合や、コントロール不良な糖尿病などを基礎疾患として持つ易感染性の患者に対しては必ず血液検査を行い、抗菌薬の経静脈的投与や入院治療を検討する。紅斑の急速な拡大や水疱・血疱の付随、同部位の握雪感や波動の存在は、より重症の蜂窩織炎やさらに重篤な皮膚軟部組織感染症を示唆し、このような場合は血液検査に加えてエコー検査、CT検査、MRI検査などの画像検査も考慮する。画像検査では膿瘍形成、ガス像の有無などを主に確認する。蜂窩織炎における血液培養の陽性頻度は低いためルーチンでの採取は不要だが、陽性となる場合はグラム陽性球菌菌血症であることが多いため、血液検査をする際には血液培養も併せて採取することが望ましい。
    蜂窩織炎は見逃してはいけない疾患の一つであるが、それと同様に重要なのは、壊死性筋膜炎などのより重篤な皮膚軟部組織感染症をrule outすることであり、血液検査を含むより詳細な検査をためらってはならない。
  • 鑑別疾患
    【丹毒】顔面に好発する細菌性の炎症性疾患で蜂窩織炎に臨床症状が類似するが、病変の主座が皮膚のより浅いところにあり、蜂窩織炎よりも比較的境界が明瞭な紅斑を呈する。
    【壊死性筋膜炎】蜂窩織炎と非常に似た初期像をとるが、紅斑の急速な拡大や水疱・血疱・紫斑などの皮膚所見を伴う場合、全身症状が著明な場合は本疾患を必ず鑑別に挙げる。血液検査項目(CRP*1や白血球数など)から算出できるLRINEC score*2が有用であり6点以上で壊死性筋膜炎のリスクが高くなる。また、試験的に筋膜まで小切開し皮下組織が用手的に抵抗なく剥離できるか確認する方法も壊死性筋膜炎の診断に有用である。
    *1 C-reactive protein(C反応性蛋白)
    *2 laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis score
    【ガス壊疽】外傷を契機に発症することが多い、重症度の高い疾患である。主に嫌気性菌を起因菌とし、激烈な全身症状と局所の激痛、握雪感を特徴とする。画像検査で皮下にガス産生を確認する。
    【うっ滞性皮膚炎】静脈血流やリンパ流のうっ滞を基盤として下腿に浮腫性紅斑を形成し、湿疹局面を形成する。「両下腿の蜂窩織炎疑い」は本症を指すことがままある。
    【深部静脈血栓症】血液凝固能亢進を中心とする様々な要因により下肢の深部静脈に血栓が形成され、周囲に炎症を引き起こす。Wells’ criteria for DVT*3を用いると臨床所見から深部静脈血栓症のリスクを推定でき、リスクが高い場合はエコー検査による血栓の確認が望ましい。
    *3 deep venous thrombosis
    【その他】接触皮膚炎、痛風、血管炎、結節性紅斑なども鑑別疾患となることがある。
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