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ARTにおける凍結融解胚移植とホルモン補充療法

監修女子栄養大学 臨床医学 教授/埼玉医科大学 産婦人科 客員教授 石原 理 先生

ARTとは

生殖補助医療(ARTアート)は、卵巣から卵子が排卵され、卵管内で精子と受精し、胚が子宮内に運ばれて着床する前までの過程を、すべて「からだの外」で行うことを可能としました。そして、「卵管性不妊」をはじめとする「不妊症」の治療は画期的に変化しました。1978年に英国でルイーズ・ブラウンさんがARTにより生まれてから、これまでに世界中で累計800万人、わが国で70万人以上のこどもたちが、ARTで生まれたと推定されます。

また、受精胚をいったん凍結して保存し、のちに融解して胚移植する方法により妊娠出産することが多くなり、日本ではARTにより妊娠し出生するこどもたちのうち、今では80%以上を占めます。

ここでは主に、この凍結融解胚移植のときに用いられるホルモン補充周期のことについて、ご説明いたしましょう。

ARTの流れ

まず、体外受精・胚移植(IVF-ET)や顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療を行う際の主な流れを紹介します。

ARTの流れ

凍結融解胚移植とは

体外受精や顕微授精によって得られた胚(受精卵)を子宮内に戻すことを胚移植といいます。胚移植には、採卵周期に行う『新鮮胚移植』と、凍結胚を融解して移植する『凍結融解胚移植』があります。

新鮮胚移植
体外受精や顕微授精によって得られた胚を、凍結せずに採卵周期に移植する方法です。胚に凍結や融解の負担をかけないメリットがあります。調節卵巣刺激を行った場合には黄体補充が必要となる場合があります。
凍結融解胚移植
体外受精や顕微授精によって得られた胚を凍結保存し、次の周期以降に融解して移植する方法です。卵胞発育を観察して排卵後の適切な時期に胚移植する『自然周期』と、エストロゲン製剤や黄体ホルモン製剤を用いて胚移植の時期を調整する『ホルモン補充周期』があります。新鮮胚移植と比較すると、排卵誘発薬による子宮内膜や黄体への影響を避けられるメリットがあります。

自然周期とホルモン補充周期とは

自然周期
超音波検査や血中ホルモン値の測定により排卵日を特定し、凍結してある胚の融解日と移植日を決定します。
薬剤の投与が不要となるメリットがありますが、排卵日を確定するために卵胞計測の回数が増えることや、排卵が確認できずに胚移植がキャンセルとなる場合があります。また、無排卵の女性や月経周期が不定の女性ではむずかしい方法です。
ホルモン補充周期
月経開始後からエストロゲン(E2)製剤を用いて子宮内膜を増殖させ、十分な厚みになった時点より黄体ホルモン(P4)製剤を併用します。P4製剤の開始日を排卵日として計算し、凍結してある胚の融解日と移植日を決定します。
自然周期とホルモン補充周期とは

ホルモン補充周期で使用される主な薬剤

エストロゲン製剤
エストロゲンには、子宮内膜の増殖を促し、肥厚させる作用があります。
凍結胚移植時に子宮内膜を厚くするために用いられます。
エストロゲン製剤には、貼り薬、飲み薬、塗り薬、注射剤など様々な投与経路の剤型があります。エストラーナテープはエストロゲン製剤です。
黄体ホルモン製剤 (プロゲスチン製剤)
黄体ホルモンには、子宮内膜に胚が着床する準備をさせる作用があります。
天然型黄体ホルモン製剤には腟剤、注射剤、ゲル剤があり、合成黄体ホルモン製剤には経口剤があります。
ホルモン補充周期で使用される主な薬剤

貼るお薬と飲むお薬

エストラーナテープは、皮膚に貼って用いる貼付剤です。皮膚からエストロゲンが吸収され、体内で働きます。

貼るお薬と飲むお薬

皮膚のケアについて

皮膚のバリア機能とテープ剤
皮膚のバリア機能とテープ剤

テープ剤を剥がすときに、皮膚の角質層が一緒に1層剥がれます。同じところで続けて何度も角質層が剥がれると皮膚のバリア機能が弱くなり、テープ剤が刺激となってかぶれることがあります。バリア機能を守ることが、かぶれ対策になります。

出典:塩原哲夫、大谷道輝 監修
臨床に役立つ経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A. アルタ出版;2012.p.16.

かぶれ対策の3つのポイント

➊ テープ剤を貼りかえるとき、同じ場所に続けて貼らない
貼るたびに場所をかえると、皮膚のダメージを抑えることができます。

テープ剤を貼りかえるとき、同じ場所に続けて貼らない

➋ ゆっくり、やさしく剥がす
端からゆっくり剥がします。

ゆっくり、やさしく剥がす
➌ 保湿剤でスキンケアをする
  • 皮膚が乾燥すると角質層がひび割れてバリア機能が低下するので、保湿のスキンケアをします。
  • 貼る場所を毎回かえるので、貼付部位(下腹部など)の全体に保湿剤を塗ります。
  • 保湿剤はテープ剤を貼る1週間前から塗ります。また、乾燥が心配なときは保湿剤を1日数回塗るとよいでしょう。
出典:塩原哲夫、大谷道輝 監修
臨床に役立つ経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A.アルタ出版;2012.p.30-3.
ゆっくり、やさしく剥がす

《保湿剤を塗るタイミングについて》

  • 貼付する前日の夜に保湿剤を塗ります。
  • 乾燥が心配なときは、翌日の朝または昼間に保湿剤を塗ります。
  • 夜入浴後に、貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてからにテープ剤を貼付します。
  • その後は、貼った部位を避けて保湿剤を塗ります。
かぶれたときの対処法

かぶれたところに、ステロイド外用剤を塗る

かぶれたところに、テープ剤を貼らない

かぶれが治るまで、テープ剤を貼らないようにします
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